20世紀に入ると、アロマテラピーという用語が誕生しました。アロマテラピーに関する人物として「ルネ・モーリス・ガットフォゼ」「ジャン・バルネ」「マグリット・モーリー」の3名は覚えておきましょう。
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アロマテラピーの誕生と実践
【ルネ=モーリス・ガットフォゼ / マルグリット・モーリー / ジャンバルネ/ロバート・ティスランド】
ルネ=モーリス・ガットフォゼ
ルネ・モーリス・ガットフォゼはフランス人の化学者で、アロマテラピーという造語をつくりだしました。(1927年)
アロマテラピー(芳香療法)はアロマ(香り)テラピー(治療)を組み合わせてつくらた造語です。
化学実験中に火傷を負ったときに、精油のラベンダーで治療した経験に基づいているといわれています。ルネ・モーリス・ガットフォゼは、精油の治療的な効果に注目し、研究を重ね、1937年に「Aromathe'rapie」にまとめ、天然の芳香物質の特性を世に広めました。
ジャン・バルネ
フランス人軍医であるジャン・バルネは、第二次世界大戦やインドシナ戦争で、負傷兵に精油を使用し、その成果を1964年に「AROMATHERAPIE(植物=芳香療法)」にまとめました。
フランスのアロマテラピー
フランスのアロマテラピーは、香りを使用する芳香療法よりは、薬物療法が中心となっています。精油の抗菌作用などを利用し、薬として用いる方法が中心です。
ホリスティック アロマテラピー【マルグリット・モーリー】
フランスのアロマテラピーは、精油の薬理作用に注目し、内服などでの使用が重視されていました。フランスで外科医の元で働いていたマルグリット・モーリー は、フランスのシャバーヌ博士著の『芳香物質の大いなる可能性』に影響を受けます。
その後、ホメオパシー医の「モーリー」と再婚し、インド、中国、チベットの伝統的な医学や哲学を研究し、精油を希釈して、オイルトリートメントを行う方法を提示しました。
マルグリット・モーリは「Le capital Jeunesse'(最も大切なもの・・・若さ)」(1961年)に研究の成果をまとめました。のちに英訳されることになり、イギリスのアロマテラピーに多大な影響を与えました。
ホリスティック・アロマテラピーは、精神面と肉体面のバランスを整えることを目的としています。
イギリスのアロマテラピー
イギリスでは、マルグリット・モーリーの研究成果を取り入れ、精油を使用したアロマトリートメントや美容方法を、多くのアロマセラピストが実践しました。これがのちに、ホリスティック・アロマテラピーと呼ばれるようになります。
1960年代から1980年代にかけて、イギリスではアロマテラピースクールが開講され、多くの専門家を輩出しました。
これに貢献したのが、シャーリー・ブライスやロバート・ティスランドらになります。
ロバート・ティスランド
イギリスの「ロバート・ティスランド」は、1977年に『THE ART OF AROMATHERAPY』を出版します。本書により、精油を希釈してオイルトリートメントを行う方法が、幅広く知られるようになりました。
1978年にはアロマテラピーの研究と教育のため「 The Tisserand Institute (ティスランド・インスティテュート」を設立し、世に多くのアロマセラピストを送りだしました。
かの有名な『精油の安全性ガイド』の著者も「ロバート・ティスランド」です。
特に、アロマテラピー関連の仕事をしている方は、一度は聞いたことがあるのではないのでしょうか。
臭覚分野におけるノーベル賞
米国コロンビア大学のリチャード・アクセル博士と、米国フレッドハッチンソンがん研究センターのリンダ・バック博士は「におい」を検出するたんぱく質の実態を明らかにして、脳ににおいの情報を送る方法を解明しました。この2人は、2004年に「ノーベル医学生理学賞」を受賞しました。
日本での精油を用いた研究【鳥居鎮夫】
鳥居鎮夫
鳥居鎮夫は、大脳生理学の権威として知られています。随伴性陰性変動(CNV)という脳波を用いて、香りによる精神作用を実証しました。これは、1986年にイギリスのシンポジウムで発表されています。
まとめ
精油の使用方法が、薬物療法から芳香療法に変化していきました。フランスのアロマテラピーでは、今でも精油を飲用したり、高濃度で使用されています。
日本でのアロマテラピーは、イギリスの考え方が主流のため、飲用は禁止され、低濃度での使用が推奨されています。
精油は天然のものですが、刺激が強いため安全に使用していきたいですね。