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自律神経とは
自律神経は交感神経と副交感神経からなり、内分泌系と連携して生理機能を調整して体内環境の恒常性を維持している。
引用文献: 化学と生物 Vol.51.No.3.2013
自律神経による生体制御とその利用 永井克也
ホメオスタシス(体内恒常性)という言葉を聞いたことはあるでしょうか。ヒトは体内環境の変化に応じて、体温、酸素濃度、血圧、血糖などの生理機能を調整します。これらをホメオスタシスと呼びます。私たちが健康を保つためには、ホメオスタシスは必要な働きになります。
アロマテラピーは自律神経に作用することが分かっています。
アロマテラピーで使用される精油は、どのように体内に取り入れられるのでしょうか。
精油が体内に取り込まれるルート
精油が体内に取り込まれるルートは3つあります。
経皮吸収
皮膚に精油を塗布することで、皮膚から血液中に入るルートを経皮吸収といいます。
皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3つに区分されます。皮膚にはバリア機能があり、体内に取り込まれるものは限りがあります。
表皮を通過する条件には、分子量が小さいことや脂溶性であることなどがあります。精油はその条件を満たしているため、皮膚の表皮のバリア機能を通過し、真皮にまで達し血液中に入ります。
精油の芳香分子を鼻から吸入 → 鼻腔→ 咽頭 → 喉頭→ 気道に入る→肺に入る→肺胞の毛細血管から血液中に入るルート
精油の芳香分子を鼻から吸入→ 鼻粘膜の毛細血管から吸収され血液中に入るルート
経鼻吸収(鼻から脳へ)
鼻から脳へ伝わるルートになります。
精油の芳香分子を鼻から吸入→ 鼻腔→嗅上皮→嗅神経→嗅球→大脳辺縁系(偏桃体・海馬)→視床下部や大脳に伝わるルート
視床下部から脳幹に伝わり、自律神経系の調整に作用します。
視床下部から下垂体に伝わり、内分泌系(ホルモン)の調整に作用します。
経鼻吸収(肺から血液中へ)
鼻から香り成分を吸い込むと、気道から肺に届き血液中へ入るルートです。
精油の芳香分子を鼻から吸入 → 鼻腔→ 咽頭 → 喉頭→ 気道に入る→肺に入る→肺胞の毛細血管から血液中に入るルート
※この他に、経口吸収があり、胃や腸などからの消化器官から吸収されます。ヨーロッパの一部では、精油は医薬品として認められ経口投与がされていますが、日本においては精油は雑貨扱いです。精油は飲まないようにしてください。
まとめ
ストレスにより自律神経が乱れることがあります。精油の芳香分子(香り分子)は脳にダイレクトに届きます。ストレス緩和に、上手く精油を取り入れていきたいですね。
【参考文献】
Equilibrium Res vol.71(3)
嗅覚と聴覚の刺激による自律神経変化
ー体内時計とヒスタミン神経系の関与ー
永井克也
<香り>はなぜ脳に効くのか アロマセラピーと先端医療
塩田清二 NHK出版新書385
香りと脳の関係をもっと詳しく知りたい方はこちらがお勧めです。